【書評】跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること
SNSで流れてきて、東田さんのことを知った。
自閉症の人が本を書いている、ということに驚き、すぐにAmazonで検索したところ、ちょうどKindle Unlimitedにこの本があったのでさっそく読んでみた。
とても新鮮な驚きと発見があった。
大変恥ずかしい話だが、自閉症で人と会話できない人や奇声(のように聞こえる)を上げている人達というのは、その見た目から受ける印象通りの知能しかないとこれまで思い込んできた。
この考えは大きな誤りで、実際には普通の人と同じように表現するのが苦手なだけで、時間さえかければ思考を整理することや適切な手段を用いて他者に伝えることもできるということを知った。
僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。
ただし、本文中にこのような記載もあった。
養護学校では、発達検査や見かけの言動で僕の知能を判断されたため、自分が望むような勉強はできませんでした
自分の気持ちをきちんと伝えられないからといって、話せない障害者が、心の中に言葉を持っていないと、簡単に判断してはいけないと考えています。
きっとまだまだ僕と同じように考えている人も多いのだろう。
テクノロジーが発達し、自分の意思を表現することが物理的に制限されていた人たちがもっともっと世の中に声を発信できるようになると、きっと少しずつ社会はよくなるんだと思う。
この本自体は6年前に出版しているし、東田さんは15年以上前から執筆活動をしているのに全然知らなかった。
Kindle Unlimitedは月980円が自動的にAmazonに吸い込まれるから、何とか元を取ろうと思って普段手に取らない本を読むことも多く、今回もそれで世界が広がった。